Cilviaの趣味と技術の記録

ポエムからまじめなことまで

つやまロボコンで設計・回路・プログラムを担当した話

この記事は kosen14s Advent Calender の21日目の記事のはずでした。

30分遅れました。関係者の皆様ごめんなさい。

 

 今回のロボコンで得た教訓は、一人でロボットを作ることは難しいからチームで挑むんだなぁということでした。

 

 

 

 

はじめに


事の発端はNHKロボコン中国地区大会を見て、やっぱりロボコンやりてぇなと思ってしまったことでした。
そこで同じ4年のメンバーに声をかけるものの、ほぼOBで幽霊状態であった彼らの心を動かすことはできず一人でやる羽目になりました。
当時はやる気で満ち溢れていたので、限界に挑戦するか!と意気込みプロジェクトが始動しました。

 

......結果から言うと一試合目で機体の一部の接着がはがれ、全体が崩れるというハプニングや練習不足から予選敗退という無残な結果に終わりました。
相も変わらずロボコンというものを理解できていなかったことを痛感しました。

 

ルールとコンセプト


さて、今回参加した「第22回つやまロボットコンテスト国際大会 決めろシュート! アイスホッケーロボコン」のるルールを簡単に説明しようかと思います。
一言でいうと、1対1でアイスホッケーをするというものです。
直径19cmのエアホッケー的なパックをロボットで撃ち合ってゴールに入れて点数を競うというとてもシンプルなロボコンです。

 

ほぼ個人ということもあり、これまで不完全燃焼であったデザイン的な側面にもこだわりながら勝てるロボットを目指すことにしました。


実際NHK全国で見てきたロボットはある程度勝つのためにデザイン性がそこまでかなぁといった印象を持っていました(あくまで個人的な感想です!)。
そこで、この4年間で得たハードウェア・回路・プログラム・デザインの知識を総動員した、機体自体からかっこよくて強いロボットをテーマに設計を開始します。

 

試作


とは言っても、あくまでロボコン
最初は少しルールを基に遊んでみます。
パックを実際に滑らせてみたり、打ったりして感触を確かめます。
その中で私の考えた攻略パターンは、最初の一撃で壁に反射させゴールに入れるということが最強!です。


あとは、戦術の幅を広げるためにロボットはかなり早く駆動でき・スティックの向きを自由に変えられることが必要だと考えました。
そのスタンスで一度試作を設計し、組み立て、データを取ることにしました。

 

そこでできたのが、この試作機です。

 

f:id:Cilvia:20171222000758j:plain

まぁ、そこそこですかね...
一応解説しとくと、本体はMDFとそれらの接着・足回りはyokomo zeroブラシレスとIG42C1/104で48mmのオムニホイールを使っています。
あと、スティックの回転はサーボでやってます。
実際に動かしてみると、ちょっと遅い・向きの変化は正直あんまり気にならない・ロボットの移動でパックを押すことは不可能ということに気が付きました。
というわけで、本設計ではこれらを改善できるように組んでいきます。

 

本設計


正直一番時間がかかりました。
デザインもこだわるというコンセプトなので、そこを俺のかんがえた最強のロボットにしなければなりません。
2週間くらい(テスト期間を生贄に)イラレfusion360を行き来する生活を続けていました。

こんな感じで

 

f:id:Cilvia:20171222000834p:plain

 

f:id:Cilvia:20171222000839p:plain

 

f:id:Cilvia:20171222000849p:plain

製作

基本的な加工はすべてレーザー加工機でやりました。

一人だと金属加工は恐ろしく時間がかかるので仕方なくです。

基本はMDFで。あとで塗装もしてます。

f:id:Cilvia:20171222001157j:plain

f:id:Cilvia:20171222001206j:plain

あとは、3Dプリンターでパーツを出力していました。

f:id:Cilvia:20171222001239j:plain

もちろん、アクリル板も。

f:id:Cilvia:20171222001403j:plain

 

回路・プログラム


正直、いつもとやることは変わりません。
メインの制御盤をぬるっと作って、LED駆動用の回路もちょろっと作って、あとはソースコードを書くだけです。
正直今回はそこまで回路に悩まされることはなく、4日程度で割と動くものができました。
本当は入れたかった機能もあったのですが、時間の都合上泣く泣くカットして機械の方に時間を割きました。

 

ここまで来ると、ロボットが光り始めます。

f:id:Cilvia:20171222001313j:plain

 

練習???


なけなしの練習期間です。
ここで大会まで5日くらいです。
試しに動かしてみると、何やらの暴走する......
どうも信号線と電源系を近くに配置していることが原因っぽいです。
なので、別で配線するために本体の板に穴をあける加工をしました。

 

そんな感じで、動かしては微調整を繰り返していたら前日になっていました。
前日は、体育館で練習があったのでそこで動かそうと意気揚々で乗り込み動かし始めた瞬間、後輩のロボットにぶつかられタイヤのフランジとスティック保持に利用していた3dプリンターパーツをへしおられました。
明らかに強度不足だったのです。
さすがにその時は目の前が真っ暗になりました。
精神が回復し、何とかモチベが戻りそれらのパーツを改めてアルミで作り直す羽目になりました。
そういえばねじ止めでないDカットのフランジを作るのは初めてで4つで6時間くらいかかり、その日の作業は終了です。


次の日、大会当日は早朝から、スティック止めパーツの強度を増したバージョンのパーツ製作に取り掛かっていました。
マジでギリギリの精神状態だったので、途中泣きかけでパーツ製作をやってました。

大会の様子


そのあと、会場へはちゃんと着いて、ロボットもあって、いじるとこもなくて、あとは本番だけという状況でした。
正直これまでの経験からこの雰囲気はNHKで1回戦敗退したときと同じで、かなり悪い状態な気がするとうすうす感じていました。

 

そんな中迎えた一回戦。

 

......

 

......

 

......

 

じ、自壊した???....

 

f:id:Cilvia:20171222002543j:plain

 

どうも上の構造物の重さと動きの速さに柱が耐え切れなかったようです。
すべての接着がはがれていました。
いや、そもそもぶつかりあうであろうルールで接着という貧弱な手段に頼った私がバカでした。
完全に自壊し、ほぼ競技不可能な状態で後半は動かずにいました。
幸い相手に得点を決められることもなく、ドローで試合が終わります。

 

次の試合までの20分。
その間に一度上部と下部のつなぎをばらし、抜けていたMDの信号線を直し、ダクトテープで補強し、外から養生でぐるぐる巻きにするという目も当てられない状況になってしまいました。

 

そうして迎えた次の試合。
直ったはいいものの、うまく操縦できない......
はい、練習不足・経験不足でどうにもなりません。
もたもたしているうちに、相手に2点決められ予選敗退が確定しました。

 

この1か月は何だったのか。
そう感じずにはいられませんでした。

 

しかし、こんな絶望の中にも運よく光は差し込みます。
心を和らげるためにピットで電飾を光らせていたら、今回同じく参加していた呉高専さんと広島商船さんがふらっと来て、「ロボットめっちゃかっこいいですね!!!」と。
その瞬間、1か月が報われました。
少しでも他人に認められるものができていたことに、非常に安心したことを今でも鮮明に覚えています。
高専さんと広島商船さんからデザインについて評価や質問を頂き、よい交流をさせてもらえたな~って思います。
そのあと、うちの後輩と広島商戦の某5年生方が一緒に冬月季の撮影会を20分くらいやってたのは面白かったです。
Twitterでその写真がアップされてて、そこでもかっこいいと言っていただけたのはありがたみの極みです!!!!!!

 

 

 

 

反省


今回のロボコンは本当に多くのことを教えてくれたように思います。


  全力でやっても報われないことは本当に多くあること。
  ロボティクス分野の広さ・ロボットを一人で作ることの難しさ。
  こだわりをたった一つに絞ること。
  魅せるロボットと勝つロボットの相反的なこと。
  ロボコンなどの競技系は練習がすべて。
  etc......

 

加えて、自分の好きなことは勝つことよりは魅せることだなぁと改めて感じることができたことです。
もちろん設計や構造・適切な組み立て方などの機械屋さんのジャンルはまだまだ知識が足りないことも自覚しました。
本当に設計屋さんには頭があがりません。


まとめ


ロボコンは人生に大事なすべてのことが詰まっています。

 

設計がうまくいかないことも、加工に失敗することも、回路が燃えることも(1回やった)、ソースのデバックすることも、努力が報われないことも、勝ってうれしいことも、負けて苦しいことも、動いて嬉しいことも、動かなくなって頭を悩ませることも、それらすべてがロボコンだし人生そのものです。
ロボットを作ることは本当に苦しいし、でも楽しいし、大会で結果を残せなくても残せても、頑張りに見合ったものはきちんとフィードバックとして得られる。
そうして、次に生かしより面白いものが作れるようになる。
これがものづくりの楽しさの1つなのかもしれません。

 

ぽえみーになってしまいましたが、来年もこのロボコンに挑戦し続けていこうと思います。

 

以上!